確定申告の更正請求(4)

前回までのお話:
確定申告の更正請求(1)
確定申告の更正請求(2)
確定申告の更正請求(3)
「代償分割」と「換価分割」との違い。
それがAさんの生活に、大きく影響してしまいました。
もうひとつ不運だったのは、
不動産をお金に換えるために、便宜上Aさんが単独名義で相続登記をし、売却をしてしまっていたこと。
遺産分割協議書に「便宜Aさんの単独名義とし、売却手続きをする」のような一文が入っていたら良かったらしいのですが、
その記載もなかったのです。
どうしたものかと考えたタムラ夫妻。
とりあえず事情を話して対応の仕方を教えてもらおうと
2人で税務署に相談に行きました。
しかし税務署の対応は、けんもほろろ。
署員の方は、
更正請求!?はあ!?バカな奴らが来ちまったぜ、(表現が汚くてすみません)
みたいな感じで対応してくださいました。
税務署員「あのね、われわれは書面でしか判断しないの。
遺産分割協議書に”代償金”って書いてあるよね?だからこれは代償分割なの。だから更正なんてできません。」
タムラ所長「でも実質は換価分割だったんです。だからこれは間違いなんです。何とか更正する方法はありませんか?」
税務署員「だからね、書面に”代償金”って書いてあるでしょ?いくら間違えてたって、今から変えられないの。」
タムラ所長「でも税務署って、”売買”って書面作っても、”実質は贈与じゃないか”って言って追徴したりしますよね。
なんで税務署がお金返す立場になると、書面でしか判断しなくなるんですか?」
税務署員「それとこれとは話が違うよね」
タムラ所長「いや違わないでしょう」
などという不毛な会話をえんえんくりかえし約2時間後、
タムラ所長「じゃあどうやっても更正できないってことなんですか?」
税務署員「そんなに更正したいんだったら、とりあえず相続人全員から”間違えました”って書面集めてきたらいいんじゃない?それでも更正が認められるかわからないけど。」
タムラ所長「そうですか、ではそうしますので」
ということになりました。
税務署員の方には「Aさんが相続人間で揉めたらしい」というのを伝えていたので、
”やれるもんならやってみなよ、どうせ無理だろうけど”
という態度がありありと見えました。
でもしかし。
ここであきらめるわけにはいきません。
私たちが受けたいのは「税務署の審査」。
「一税務署員の個人的判断」を仰ぎに来たのではないのですから。
とりあえず相続人全員から書面をもらうこと!
これが至上命題になりました。
話がややこしくなるので今まで書いてませんでしたが、
じつはこの遺産分割協議書、弁護士さんが作成されたもの。
なのでその弁護士さんに連絡を取り、事情をお話しすることにしました。
すると、
「たしかにAさんの遺産分割は換価分割でした、申し訳ありません。
私が責任を持って相続人から書面をもらって来ます」
とのありがたいお言葉!
それから待つこと約1か月。
当事務所に、相続人が押印した書面が届きました。
思いがけずあっさりと、書面が手に入ったのです。
ちなみに書面は、「この遺産分割は換価分割であり、売却手続きを迅速に進めるため、便宜Aさんの単独名義で登記し、売却代金を分割したものである」という内容。
そしてタムラ事務所は、Aさんの確定申告の更正請求を申し立てました。
それから約2ヶ月。
何度かの追加書類の提出を経て、めでたく更正の許可がおりました。
すでに所得税は還付されており、これから住民税も還付される予定です。
去年からずっと心につかえてたことが
スッキリした気分です。
最後に思ったこと。
なんだ、できるんじゃん。
税務署の人も、「こうやったらできます」って言ってくれたら
話は5分で終わったのに。
あの不毛な言い争い(?)は何だったのさ。
でもとにかく良かった。
Aさんの経済状況が、少しでも楽になれば。
長々と書きましたが、そういう騒動があったのでした。
チャンチャン。