【不動産登記実務ネタ】不動産登記の要約書がとれない物件

先日、敷地権化されていないマンションの敷地部分の不動産登記事項証明書をとるため、
特定の所有者の分だけの証明書を請求しようと一部事項証明書を法務局に請求しました。
すると「この物件は全部事項証明書しかとれません」と言われました。
つまり、所有者全員の分の登記簿謄本しかとれないのです、ということです。
昭和59年より前に建てられたマンションは、
建物と敷地が一体化していない(敷地件化されていない)ものが多いため、
マンションの土地部分の登記事項証明書は、居住者全員の売買や抵当権設定の経緯が
記載されています。
全部事項証明書をとると、その量は膨大となるため、
特定の所有者の分だけの土地の権利関係を調べたい場合は、
このように一部事項証明書という方法で調べることができます。通常は。
しかし、法務局は、この物件は、一部事項証明書で取得することができなので、
全部事項証明書を発行するしかないというのです。
何故一部事項証明をとれないのか理由を聞いても、
「いろいろ理由があるんですが、全部事項証明書しかとれない物件というのがあるんです」
と、全く納得できない説明したが、
とりあえず全部事項証明書を取ってみることにしました。
取ってみると一見、何も変わらない証明書でしたが
えっ?何これ?と
思わず口にしてしまいました。
どんな内容かというと
持ち分の合計が1分の1、つまり100%にならないのです。
恥ずかしながら自分は今までこういう物件に出くわしたことがなかったんですが、
他の司法書士に聞くとどうやらたまにあるようです。
原因としては、下記のようなことがあげられそうです。
1.マンション居住者が多い物件の敷地の権利関係は複雑になりがち。
2.共有者の氏名や住所の変更の登記が入るとさらに登記簿上わかりずらい。
3.コンピュータ化以前の登記簿は、内容を把握するのが煩雑。
3.共有A持分の一部移転としなければならないところ、共有者A持分全部移転とされ、
るなど、登記上の記載ミスがいくつもあり、持分が不明になってしまっている。
4.登記上の記載ミスを誰かがすぐ気がつけばすぐ更生できたのに、記載ミスの登記を
信じて、さらに権利が移転され、その後も何度も記載ミスを繰り返している。
私が取得した登記事項証明書でも、土地の部分の権利関係は解読不能になっていました。
もうなんだかよくわからない状態です。
コンピュータ化以前の謄本も取り寄せ、
権利関係を把握してみようと思ったのですが、
10分後、これは単なる時間の無駄だと気付きやめました。
仕事を引退し、やることが無くなったときに暇つぶしに調べたいと思います。