東日本大震災で家族を亡くした被災者を対象に、相続放棄申立期間延長の方向!

東日本大震災で家族を亡くした被災者を対象に、
相続放棄の熟慮期間の期限が
平成23年11月末まで延期される方向で動いているようです。
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(平成23年6月8日 日本経済新聞 朝刊 引用)
相続判断の期限延長法案を了承 民主、議員立法へ
民主党は7日の拡大政策調査会役員会で、東日本大震災で家族を亡くした被災者を対象に、遺産相続の判断の期限を11月末まで延長する法案を了承した。民法では死亡から3カ月以内に相続か放棄かを決めなければならない「知らない間に家族の負債を相続してしまう可能性がある」との指摘が出ているため、相続を放棄できる期間を延長する。議員立法で今国会に提出する方針。
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人が亡くなった場合、その相続人は、
遺産を相続するか、相続放棄するかを一定の期限内(相続放棄熟慮期間ともいいます)に判断する必要があると民法で定められています。
この期限は、”自分のために相続の開始を知った時から3ヶ月以内”とされています。
そして、この期限内に「相続放棄します」と家庭裁判所に申立てしなかった相続人は、
借金も含めて相続したものとみなされるということになっています。
(相続放棄ができなくなります)
それで、東日本大震災の日(平成23年3月11日)から3ヶ月以内(平成23年6月11日)に
相続放棄を家庭裁判所に申し立てないと、借金も相続したとみなされてしまうのでは?
と言われていました。
借金を相続しない方法として、相続放棄の手続きがあることや
相続放棄の手続きは一定期限内に家庭裁判所に申し立てする必要があること
を法律関係者や法学部出身以外で知っているの人は意外に少ないと思います。
ましてや東日本大震災で家族を亡くした被災者の方が、
大変な時期にそんな法律の情報を仕入れて
平成23年6月11日までにそんな手続きをできるわけない!
なんとか期限を伸ばせないのか?
と、ここ数カ月いろいろ動きがあったようです。
その動きがようやく実り
東日本大震災で家族を亡くした被災者を対象に
相続放棄の申し立てられる期限(相続放棄熟慮期間)を平成23年11月末までに延期
しようとなってきたのが、このニュースです。
補足ですが、この日本経済新聞の記事のうち
「法では死亡から3カ月以内に相続か放棄かを決めなければならない」
「知らない間に家族の負債を相続してしまう可能性がある」
というのは、ちょっと表現がまずいなと思います。
①「死亡から3カ月」ではなく
「自己のために相続の開始を知ったときから3ヶ月」です。
何が違うんだ?同じじゃないか?と思われる方もいるかと思いますが
前者は、亡くなったのを知らなくても期限がスタートしてしまうのに対し、
後者は、少なくとも亡くなったのを知らないと期限がスタートしません。
法律上は、”相続開始を知ったときから”となってますので、
亡くなったのを知らなければ、相続放棄の期限はスタートしないので
全然違うといっていいでしょう。
ただ、この”知ったときから3カ月”の起算日はいつなのかは、
相続人に請求したい債権者と、相続放棄をしたい相続人との間で
たびたび争いになるので、
亡くなった日から3カ月以内に相続放棄の申立てをするのがベターと言えます。
②知らない間に負債を相続するということはなく、
相続財産の存在を知ったことも必要とされます。
負債があることを知ったその時から3ヵ月以内であれば、
相続放棄することができます。
ただし、これも、ほんとは負債があること知っていたのでは?
と争いになることがあるので、
亡くなった日から3カ月以内に相続放棄の申立てをするのがベターと言えます。
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