権利証偽造等による不動産詐欺取引を防げ!

『月刊 登記情報』の最新号(平成23年6月号)に
「不動産詐欺取引~偽造権利証による立会登記事件報告~」という記事が掲載されていました。
執筆者は神奈川県司法書士会 佃先生です。
不動産登記における司法書士のもっとも重要な業務は「人(ヒト)・物(モノ)・意思(イシ)」の確認です。
人(ヒト)の確認は、当事者が間違いなく本人であるかの確認
物(モノ)の確認は、対象物件は間違いないか、権利関係に間違いがないかの確認
意思(イシ)の確認は、当事者に登記をする意思があるかの確認
これらをきちんと確認できないと、基本的に登記はできません。
たとえば不動産が売買される際、司法書士は、不動産の残金決済に立会い、
人・物・意思を確認し、登記に必要な書類がそろっているかを確認します。
司法書士がこれらの確認を終え、当事者にOKを出すことによって、
不動産購入のための融資が実行され、売買代金が支払われ、不動産が引き渡されます。
そのため、司法書士が万が一にでもその判断を間違ってしまうと、
詐欺の被害者を生んでしまうことにもなりかねません。
記事には、売主本人になりすますために不動産の権利証と運転免許証が偽造された事例が書かれていました。
読んでいてゾッとしました。
不動産詐欺の典型的な手口ですぐ思いつくのは
売主に成りすまして不動産を売却し、売却益を得るというものですが、
買主に成りすまして、住宅ローンを詐取する例もあるようです。
そして他人に成りすますために使用される偽造免許証は精巧さが増し、現在では本物と見分けがつかないとか。
詐欺師たちはどんどん新しい手口を考え出すので、
完全に被害を防止するのは難しいかもしれませんが、
われわれ司法書士は、詐欺被害がゼロになるよう目を光らせ、努力しなければいけません。